夏こそビタミンC!健康を守るための栄養学的ヒント

夏になると、日差しが強くなり、汗をかく機会も増えますね。冷房の効いた室内と外気の暑さによる自律神経の乱れ、紫外線、外出の多さで、体の疲れや肌のトラブルを感じやすい方も多いのではないでしょうか。

そんな季節にこそ意識したい栄養素が、ビタミンCです。ビタミンCは「肌にいい」とか「風邪予防の栄養」だけだと思われがちですが、実は分子レベルで体を整える大切な役割を持っています。今回は、分子栄養学の観点から、夏に必要なビタミンCの働きや摂り方をわかりやすくお話しします。


目次

ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内で作ることができないため、食事やサプリメントで補う必要があります。分子栄養学の視点から見ると、ビタミンCは以下のような重要な役割を担っています。

  1. 抗酸化作用
    紫外線やストレス、運動によって体内に活性酸素が増えると、細胞を傷つけてしまいます。ビタミンCは抗酸化物質として、これらの活性酸素を無害化し、細胞やDNAのダメージを防ぐ働きがあります。夏の強い日差しを浴びる機会が多い季節には、特に欠かせません。
  2. コラーゲン合成
    ビタミンCは肌や血管、骨、腱などの材料となるコラーゲンを作るために必要です。夏の紫外線ダメージや汗で失われる水分とともに、コラーゲンを守り、肌の健康を保つ役割もあります。
  3. 鉄の吸収を助ける
    食事で摂った非ヘム鉄(植物性食品に含まれる鉄)を体内で効率よく吸収するために、ビタミンCが必要です。暑さで食欲が落ちやすい夏でも、ビタミンCを意識することで貧血や疲労予防につながります。
  4. 免疫力のサポート
    白血球や抗体の働きにもビタミンCは関わっています。夏は冷房で体が冷えやすく、外出で疲れやすい季節。ビタミンCを十分に摂ることで、感染症や夏バテの予防にもつながります。

夏こそ必要なのに、意外と不足しやすいのがビタミンCです。理由はいくつかあります。

  1. 汗や尿での排出が増える
    ビタミンCは水溶性のため、汗や尿で体外に排出されやすい栄養素です。暑い夏は特に汗をかくので、必要量が増えます。
  2. 紫外線による酸化ストレス
    紫外線を浴びると体内で活性酸素が増えます。活性酸素を中和する抗酸化作用として、ビタミンCの消費量が増えます。
  3. 冷房による体の負担
    冷房で体が冷えると血流が低下し、疲労感やだるさを感じやすくなります。ビタミンCは血流改善や抗酸化による疲労回復にも関わるため、夏は意識して補うことが望ましいです。

ビタミンCは熱や光、酸素で壊れやすい性質があります。そのため、調理や保存方法も工夫することが大切です。

  • 生のまま食べられるものは生で食べる
    ピーマン、ブロッコリー、キウイ、イチゴなどは生で食べると効率よく摂取できます。
  • 加熱する場合は短時間で
    スープや炒め物は、加熱時間を短くするか、最後に加える工夫をしましょう。
  • こまめに分けて摂る
    一度に大量に摂っても排出されやすいので、朝・昼・夜に分けて食べると効率的です。
  • 果物・野菜を組み合わせる
    彩り豊かな野菜と果物を組み合わせることで、ビタミンCだけでなく他の抗酸化物質も一緒に摂れます。

野菜や果物で簡単に補えることが一番理想的ですが、夏は汗で失われやすいため、少し余裕をもって摂るのがおすすめです。そのためサプリメントで補うことも視野にいれるといいかもしれません。


分子栄養学の考え方では、栄養素を「ただ摂るだけ」ではなく、体内でどのように働くかを意識します。

  • 紫外線ダメージを受けやすい夏は、抗酸化作用の働きが特に重要
  • 汗で失われやすい水溶性ビタミンなので、こまめに補給
  • 他の栄養素(鉄や亜鉛、ビタミンEなど)と一緒に摂ると効果が高まる

つまり、夏に必要な栄養補給を「分子レベルで考えて組み立てる」のが分子栄養学の特徴です。

夏は楽しい季節ですが、特に最近の夏は「酷暑」と言われていたり体の負担も大きくなる時期です。熱中症も含め体調の変化には十分に気を付けていきましょう。
ビタミンCは、

  • 抗酸化作用で細胞を守る
  • コラーゲン合成で肌や血管を健康に保つ
  • 鉄の吸収を助ける
  • 免疫力をサポートする

など、夏の体調管理に欠かせない栄養素です。

ポイントは「バランスよく、こまめに摂ること」。野菜や果物を毎食に取り入れ、必要に応じてサプリメントも活用してみましょう。分子栄養学の視点を意識することで、夏の健康もより安心して維持できます。暑い季節だからこそ、体の中からしっかりケアして、元気に過ごしていきたいですね。


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